「うちの子、勉強はしてるんですけどねぇ。。。なかなか成果が出なくって。。。」
「うちの子、勉強の要領がわるいんです。ほんとに不器用で。」
「うちの子、覚えた気になっていて、全然わかってないんです。」
「うちの子、ただ机に向かっているだけで、アタマに入っていないのかも。」
よく耳にする話です。全て、
「勉強や努力はしているけど、結果に結びついていない。」
という話で、
「なぜ、勉強しているのに、努力をしているのに、成績が伸びないのか、結果がでないのか?」
という疑問を抱くことになります。これは子どもに限ったことではなく、大人にもあてはまることです。仕事をしている大人が、社内で努力はしているものの、成果に結びつかない、成長スピード(仕事のスキルアップ)が遅い、といったことがあると思います。
今回から複数回に分けて、「勉強してるのに成果が出ない」理由と対策をお話させていただきます。お話させていただく「成果がでない理由」は、いわゆる「(勉強において)要領がよくない子供」「(勉強において)器用でない子供」のすべてに当てはまる「共通」の理由だと考えています。言い換えると、「共通する理由が『必ず』存在する」のです。
~ 序論として ~
「本を読んでいて、内容が全然アタマに入ってこない。」
ってことがたまにあると思います。
私は、読書をしているとき、「ただ活字を追っているだけ」の時があります。読書もそうですが、勉強においてもよくあるケースです。
「読書(勉強)はしているけど、内容がアタマに残らない(理解していない、覚えていない)。」
ということです。
他の例に「筋トレ」があります。
ただやみくもに努力して腕立てや腹筋をやりまくっても、思ったように筋肉がついていなかったり、効果が少なかったりします 。
このような効果が表れない読書、勉強、筋トレ、いずれにおいても、
「『脳や筋肉』に『適度な(適切な)負荷』がかかっていない状態で、読書・勉強・筋トレという『ただの行為』を行っているだけ」
の状態なのです。
したがって、
努力を「効果的」に結果に反映させるためにはどうしたらいいのか
を考える必要があります。
これは、
努力エネルギーを『効率的に』変換して、対象物に作用させる
のと同じと考えていいと思います。
重いものを両手で「よっこらしょ」って持ち上げるか、「てこ」の原理を使って簡単に持ち上げるか、の違いです。滑車を使ったりするのも同様です。(懐かしい学習事項ですね。)『同じ』チカラを働かせていても、てこや滑車を使うと簡単に持ち上げられるのです。
要領のいい子供とそうでない子供の大きな違いは、この努力エネルギーの変換効率にあります。同じ時間をかけて勉強(努力)しているのに成果に違いがでるのはこの変換効率の差です。この差を「要領がイイ」とか「アタマがイイ」という言い方をする場合があります。(アタマがイイかどうかの判断材料のひとつであるというだけで、能力値そのものを表すわけではありません。今後、説明のために「要領がイイ」「アタマがイイ」などの表現を使わせていただくことをご了承ください。)
この効率的なエネルギー変換の差は、どうして生じるのでしょうか。
~ ここまでのまとめ ~
同じ時間、同じ勉強(表面上同じ勉強)をしていても成果に差がある原因
・脳に適度な負荷がかかっている勉強なのかどうか
・努力エネルギーを効率的に変換できているかどうか
脳に適度な負荷がかかっている勉強について
「うちの子、勉強はしてるんですけどねぇ。。。なかなか成果が出なくって。。。」
「うちの子、勉強の要領がわるいんです。ほんとに不器用で。」
「うちの子、覚えた気になっていて、全然わかってないんです。」
「うちの子、ただ机に向かっているだけで、アタマに入っていないのかも。」
いずれも、勉強はしている。この点は褒められるべきです。しかし、ちょっと厳しい表現を使って(すみません)言わせていただくと、
「ただやっているだけ。」
「教科書をよんでいるだけ。ノートを見ているだけ。」
「なんとなく覚えているだけ。覚えた気になっているだけ。」
野球選手のダルビッシュさんが以前X(Twitter)で以下のようにつぶやいていました。
『練習は嘘をつかないって言葉があるけど、
頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ。』
勉強をすることは大切です。努力しているのも認めます。他にやりたいことや遊びたいことがあるのに、机に向かって勉強するだけで素晴らしいことです。
しかし、ダルビッシュ選手が言うように、アタマを使って勉強しないともったいない。努力が効率的に結果に反映されない。アタマを使わない勉強は、ただひたすら努力しているだけで、ただ量をこなしているだけになってしまっていることがあります。もったいないです。せっかく勉強しているのに。
このようなアタマを使っていない努力によって得た勉強内容は、すぐに脳から忘れられてしまうのです。身につかないのです。
ここでいう「アタマを使った勉強」は、「脳に負荷がかかった勉強」であり、さらにいうと、「脳に適度な負荷がかかった勉強」のことです。
以前、宿題は子どもにとって適度な難しさのものがいい、というお話をしました。これは脳に適度な負荷がかかっている宿題ということです。簡単すぎる宿題はつまらないし成長しません。また難しすぎる宿題は手が付けられず、つまらないしストレスになり宿題をしなくなってしまいます。
今回は、
「英単語100個を明日までに覚えてくる」
※ 英単語をみて日本語(意味)を書く、というテスト(100問)が明日あるとします。
※ 以下の例の子供の「勉強時間は同じ」とします。
という宿題を例に挙げ、その宿題を行う際の効率性(要領のよさ)を考えていきたいと思います。
宿題をアタマを使ってやるとは。脳に負荷がかかっているかどうか。
子供A1:英単語100個を最初から最後まで見る。そしてまた最初に戻って繰り返し見る。
⇒【脳に負荷がかからない勉強】
子供A2:英単語100個を10個ずつに区切る。最初の10個を繰り返し見たら次の10個に移って見る。これを繰り返し、最後までいったらまた最初に戻る。
⇒【小分けにしてスモールステップにしている。10個を集中的に繰り返すことはできるが、見ているだけで、脳に負荷がかからない。次の10個も見るだけ。小分けにしているが、脳にかかる負荷は、100個全体を繰り返すのと大差ない。「区切る」というスモールステップの方法をとったことにより、「アタマをつかって勉強した気にはなる」が効果はほぼない。】
子供B1:英単語100個を最初から最後まで見る。そして100個の中から、自分にとって覚えられない、または覚えにくい単語をピックアップして、その選んだ単語を集中的に繰り返し見る。
⇒【苦手な英単語を繰り返すことで脳に負荷がかかる。しかし、見るだけなので負荷の程度が軽い。】
子供B2:英単語100個を10個ずつに区切る。最初の10個を繰り返して覚えてから次の10個に移って覚える。これを繰り返し、最後までいったらまた最初に戻る。
⇒【最初の10個を覚える、という、脳に負荷がかかる勉強。「区切る」というスモールステップにより、「覚える」という負荷がかかる勉強が何度も行われる。】
子供B3:「子供B2」と同じ(スモールステップ+覚える)だが、新しい10個を覚えたら、「以前覚えた10個を復習する」という勉強が加わる。
⇒【「間隔をあけて覚える(復習する)」という、脳にさらに負荷のある勉強を追加している。)
子供B4:「子供B3」と同じ(スモールステップ+覚える+少し間隔をあけて覚えなおす)だが、10個ずつに区切って覚える際、10個全部を繰り返すのではなく、10個の中から苦手なものだけ抜き出しそれを集中的に覚える、という方法を追加する。これをそれぞれのスモールステップで行う。
⇒【苦手な部分を集中的に覚える、という負荷のある勉強が加わる。】
他にも、英単語を覚える際には、声に出す、書いて覚える、語呂合わせ、語源から意味を覚える、など、多くの方法がありますが、今回はここまでとします。
・子供A1、A2は、脳に負荷のかかっていない勉強をしている ≒ 要領がよくない子供
・子供B1~4は、程度の差はあれ脳に負荷のかかっている勉強をしている ≒ 要領のよい子供
脳に適切な負荷がかかっていると子供は効率的に単語を覚えられます。同じ時間勉強しても「成長速度」が速いのです。努力エネルギーを効率的に成果(成長)につなげているのです。先ほど述べた、努力エネルギーの変換効率が良いのです。
その1のおわりに
上記例の子供B1~B4には、脳に負荷がかかる様々勉強方法がとられています。ひとつひとつの方法の有益性をお伝えするには、複数回にわたってしまうことをご容赦ください。
今回は「序論」とさせていただきましたが、次回以降、「脳への適度な負荷」と「その成果、子供の成長」に関して、心理学的なお話も含めながら、ひとつひとつを細かく、できるだけわかりやすく考察していき、「勉強や努力はしているけど、結果に結びつかない」理由とその対策の一助になれれば幸いです。
さいごになりましたが、本日(3月11日)この記事を投稿するにあたって。
今回も今までも、アタマに残す、記憶する、という方法をお話させていただくことが多いのですが、人によっては「記憶から消す」「忘れる」方法も知りたいのでは、と思うことがあります。もちろん、過去の出来事から学ぶこともあり、それを教訓として未来につなげていくのですが。時期が近づいたり、特定の日がトリガーとなって記憶がよみがえることがあるので、そんなときだけでいいから、ちょっとの間だけでもいいから「忘れる方法」があるといいなぁと思います。
さいごまで読んでいただき、ありがとうございました。