前回の「~勉強しているのに~その7」の続きです。
前回までの復習をします。
「同じ時間、(表面上)同じ勉強をしていても成果に差があるのはなぜか」を、
「英単語100個を明日までに覚えてくる」
という宿題を例に挙げ、6人の子供の英単語の覚え方とその効率性の話をしていました。
・子供A1、子供A2はコンフォートゾーンにいる。見ているだけで脳に適度な負荷がかかっていない。
・コンフォートゾーン=快適・安心(Comfort)領域 = 脳に負荷のかかっていない勉強
・子供B1は、見ているだけだがストレッチゾーン。「現在の能力をわずかに上回る課題(苦手な単語)を練習し続ける」という『限界的練習』と『スモールステップ』により、「脳に適度な負荷」を、『「狭めた範囲」かつ「短時間」に「集中的に」』かけるので、努力エネルギーの変換効率が高く、スモールステップにより小さな成功体験も積み重なる。
・ストレッチゾーン=背伸び・成長(Stretch)領域 = 脳に「適度な」負荷のかかっている勉強
・子供B2は、10個に区切る「スモールステップ」と「覚える」という「想起学習(思い出すこと)」を組み合わせ、その「想起学習」を繰り返すことにより、脳に負荷がかかり、脳内のシナプス結合が強化され、想起の学習促進効果(テスト効果)が高まる。
・学習とは「知識のインプット」だけではなく、「アウトプット(想起)において行われる」 もの。
・子供B3にとって、子供B2との大きな違いは、「間隔をあけて復習している」こと、すなわち「分散学習」をとりいれていること。「間隔をあけて復習する」ことにより、より脳に負荷がかかり、記憶の定着が促進される 。
・「エビングハウスの忘却曲線」と、「ウォータールー大学による忘却曲線」によると、効率的に思い出すための復習の最適なタイミングは、1日後 → 1週間後 → 1か月後 。
(以下、今回の内容です。)
- 分散学習が自動でできるアプリ
- 暗記するためのマーカー & 赤シートアプリ
- 補足:アナログ派の暗記ペンとシート最新版
- 補足:暗記ペン代わり! 今どきの暗記マーカー!
- その8のさいごに ~ 分散学習とその効率性のまとめ ~
今回の英単語の宿題のように、いったん覚えたものを分散学習で復習するのですが、復習が手間だったり、面倒だったり、忘れたり、で、なかなか復習ができない ことがあると思います。
とくに、1日後 → 1週間後 → 1か月後、に復習するとよい、といわれても、1週間後には、「復習すること自体」を忘れてしまいます 。
隣の部屋に行って、ドアを開けた瞬間に、
「あれ? 何しに来たんだっけ?」
ってことがよくあるぐらいですから、1週間後、1か月後なんて、覚えていないのは当然です。
そんなとき、たいへん便利な神アプリたちがあります。
※ちなみに、さきほどの「あれ? 何しに来たんだっけ?」は、「ドアウェイ効果」、「位置更新効果」と呼ばれています。「出入り口を通過したり、別の場所に移動したりしたときに、短期記憶が失われてしまう(用事をど忘れしてしまう)現象です。研究されているのですが、今のところ明確な原因はわからないようです。
分散学習が自動でできるアプリ
「適切なタイミングでの分散学習(復習)」を自動で行ってくれるアプリを2つ、ご紹介します。
アプリを利用するメリットは、
・自動で分散学習できる(通知してくれる)ので習慣化しやすいこと
・スキマ時間に復習できること
などがあげられます。
基本的な分散学習機能を備えたアプリです。シンプルで見やすく、初心者にお勧めです。
通知機能でお知らせがきたとき、内容そのものが通知されるので、半ば強制的に目に入ります。
復習した時に、25分後、12時間後、1日後、4日後と、次にリマインドしてほしいタイミングを選べます。
音声読み上げ、画像登録もでき、WEB版と同期することもできます。
登録数に制限はありますが、基本的に無料です。
十分な機能と、直感的な使いやすさがreminDOの特徴です 。
iPhone版、iPad版 ↓:基本無料、有料版 ¥480/月 ¥3,000円/年(2024年3月現在)
Android版 ↓:2024年3月現在 ダウンロードできるか不明です。
androidapp.jp.net
フラッシュカード形式、解答タイピング形式、など、問題形式やカスタマイズ性に優れた分散学習アプリ及びサービスです。
画像や音声の登録、録音もできます。
カスタマイズ性に優れている分、問題作成が少し手間ですが、問題・答えを作成するのはパソコンで、問題を解くのはスマホ版アプリで、というように使い分けすると効率的です。
以下のように名称に若干の違いがあります。
1.AnkiWeb(ブラウザ上のサービス 無料)
2.Anki(パソコン版アプリ、Windows、Mac 無料)
3.AnkiMobile Flashcards(iPhone、iPad版アプリ、有料 ¥3,500 ←2024年3月現在)
4.AnkiDroid Flashcards(Android版アプリ、無料)
上記アプリ(2,3,4)はAnkiWeb(1、機能は限定的)のクラウドを介して同期ができます。
iPhone版、iPad版の「AnkiMobile Flashcards」のみが有料 ¥3,500(2024年3月現在)ですが、パソコン版「Anki」でカードを作成して、iPhone、iPadの「ブラウザ上(safariなど)のAnkiWeb」で学習する(つまりアプリは使わない )、というようにすれば無料で利用できます。
分散学習用ではありませんが、
暗記に役立つアプリも以下にご紹介します。
暗記するためのマーカー & 赤シートアプリ
ノートや教科書の覚えたい部分に、ラインマーカーで線を引き、赤シートや下敷きで隠して覚えることがあると思います。
この暗記するためのラインマーカーをアプリ上で行ったり、赤シート代わりに使えるアプリがあります。
単語や文章を隠して覚える暗記学習用のアプリです。
撮影した教科書や参考書写真や、PDF、テキストファイルを取り込んで、アプリ上でマーカーをつけマスキングして、簡単に隠すことができます。
正答率によってマーカーの色が変わったり、解説部分を隠したり、フォルダ整理できます。
マーカー毎に個別に実績を記録することもでき、iPad版は書き込みもできます。
※「暗記マーカー」という名称のAndroidアプリがありますが、別のアプリです。
先ほどご紹介した「暗記マーカー」のLiteバージョンです(機能制限あり、広告表示あり無料版)。無料版でも十分利用できます。
もともと赤色で印刷されている参考書や、赤ペンで書いたノートの写真を撮影し、アプリ上で赤シートを出して暗記するアプリです。
また、アプリ上で隠したい部分にブロックをのせて隠すこともできます。その他、単語帳機能なども豊富です。
専用ボールペンまたはマーカーを使った教科書やノートを撮影すると、書いた部分が黒くマスキングされます。
黒いマスキング箇所をタップすると外すことができます。
また、アプリ上の緑シートを使って隠して覚えることもできます。
補足:アナログ派の暗記ペンとシート最新版
やはり、暗記は手書きでないと落ち着かないヒトもいるはずです。
以下に、最近の暗記用のペンと暗記シートをご紹介します。
最新のものは、水色で文字を書いたり、オレンジで覚えたい部分を上からなぞって、「青シート」で隠して覚えるようです。
青色のほうが、①目にやさしい、②青色は集中力が増し、暗記効果が増す、③青色はリラックス効果もある、などの理由が考えられます。
こちらは、従来の「赤シート」で隠すものですが、いかにも「暗記用」ではなく、デザイン性に優れている点で人気です。
また、1つのペンにマーカー用と記述用の2色の太字・細字ペンがついているのも人気の理由です。
緑ではなく「青」でなぞってマークしたほうが、なぞる前の「元の文字」が見やすい ようです。
紙の裏面ににじみにくいと評判のチェックペンです。
緑、青、赤、ピンクのペンと、赤シート、緑シートを組み合わせる ことができます。
こちらも、最近は青ペンが、なぞる前の「元の文字」が見やすい、という理由で人気のようです。
補足:暗記ペン代わり! 今どきの暗記マーカー!
今どきは、暗記ペンではなく、以下のようなものを使ってマーキングするようです。
教材をキレイに使いたい人 はこちらの暗記用ふせんがぴったりです。
貼ってはがせる、暗記するためのフィルムふせんです。
5㎜方眼のミシン目が入っているので、好きな形やサイズにちぎって貼る ことができます。
ふせんなので、筆記具のような裏うつりがなく、裏ページに影響しません。
学習のモチベーションを高める、絵柄が楽しいデザインマーカーテープです。
下の画像では見にくいのですが、「山」と「波」がデザインされた テープです。
・グリーンの山のデザイン ⇒ 山をはれ
・ブルーの波のデザイン ⇒ 波にのれ
その8のさいごに ~ 分散学習とその効率性のまとめ ~
人の記憶は「時間が経つほど忘れてしまう」ものです。
『学習したことを記憶に定着させるためには「反復して学ぶ」「復習する」ことが重要である』、ということが「エビングハウスの忘却曲線」と「ウォータールー大学による忘却曲線」からわかります。
「いったん覚えたことを、間隔をあけて再び覚え直す」という「分散学習」を行い、「想起」を繰り返すことにより「テスト効果」が増し、記憶が定着していきます。
ご紹介したアプリなどをうまく利用して、1日後、1週間後、1か月後など、一定の期間を空けながら定期的に復習し、「より効率的に」分散学習を行うことで、短期記憶から長期記憶に効率的に記憶を定着させることができると思います。
次回は子供B4の予定です。
さいごまで読んでいただき、ありがとうございました。