ふすまのスキマ

アクティブなとき、そうでないとき、ココロの心太(ところてん)

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【教育】「うちの子、けっこう勉強してるのに成績が伸びないんです。」【なぜ勉強しているのに成果が出ないのか?】その5:限界的練習と「質」

 前回の「~勉強しているのに~その4」の続きです。

 前回までの復習をします。

「同じ時間、(表面上)同じ勉強をしていても成果に差があるのはなぜか」
を考察していました。
 ストレッチゾーンに身を置くこと(脳に適度な負荷をかけること)が大切でした。

 

コンフォートゾーン=快適・安心(Comfort)領域
=脳に負荷のかかっていない勉強
ストレッチゾーン=背伸び・成長(Stretch)領域
=脳に「適度な」負荷のかかっている勉強
パニックゾーン=混乱(Panic)領域
=脳に「過度な」負荷のかかっている勉強

 また、コンフォートゾーンから、自らは出られない子供は、
保護者、指導者、仲間からのサポート
・どんなことでもいいので、「新しいことへのチャレンジ」や「やったことないことの経験」
をして、ストレッチゾーン内の負荷に慣れていけば、勉強にも応用できる

というお話をさせていただきました。

 

「英単語100個を明日までに覚えてくる」

という宿題を例に挙げ、6人の子供の英単語の覚え方とその効率性の話をしていました。

子供A1子供A2コンフォートゾーンにいる。脳に適度な負荷がかかっていない。

子供B1苦手な単語を抽出し集中練習)はストレッチゾーンにいる。脳に負荷がかかっている。(見ているだけだが。)

子供B1「限界的練習」「スモールステップ」を組み合わせることにより、「脳に適度な負荷」を、『「狭めた範囲」かつ「短時間」に「集中的に」』かけることができている。したがって、努力エネルギーの変換効率が高く、スモールステップのおかげで、小さな成功体験がどんどん積み重なっている

 

「限界的練習」とは、「現在の能力をわずかに上回る課題を練習し続けること」。

 

スモールステップ とは、「簡単なことから始める」という習慣化の初動の方法で、脳に「簡単で短時間」な刺激を繰り返し与えて習慣化しやすくする方法。今回は「範囲を小さく限定する」 という意味で使用。

 

 限界的練習の重要ポイント
1.自分の能力を少しだけ超える負荷をかけ続けること。(ストレッチゾーン。)
2.集中して行うこと。(スモールステップで集中練習。)
3.明確な具体的目標があること。(目標を「意識」するだけで効率が上がる。)
4.フィードバックする。

 

(復習が長くなってしまいました。)
(でも、復習は大切だ、と考えてあげてください。)

 

(以下、今回の内容です。)

 『限界的練習』+『スモールステップ』の身近な例

 新しい曲をピアノで演奏できるようにする。

・曲を最初から最後までとおして演奏して、それを繰り返す練習は効果が薄い
できないところつまずくところ見つけ出すことが大切。
・その苦手なところだけを集中して何度も繰り返し練習する。
 ⇒『限界的練習』『スモールステップ』=努力エネルギーの効率的変換

 カラオケ用にを覚えるときも、上のピアノの例と同じように練習するのではないでしょうか。

 

 限界的練習の「限界」を乗り越える方法

 ピアノにしても歌にしても勉強にしても、限界的練習を行っているものの、苦手なところがなかなか改善されないことがあります

 そんな時、

 「もっとたくさん練習しよう!」
 「練習時間を増やそう!」

など、時間や量を増やそう と考える場合があります。

 

 たしかにそれでも改善されることがありますが、非効率的です。

 

限界的練習は、

「努力エネルギーを『効率的に』変換し成果に結びつける」

ことが大切です。

 

 つまり、

『量』より『質』を重視する

ことになります。

 

 したがって、練習時間や量を増やすのではなく、

「練習方法を少し変えてみる」
「別の方法を探す」


ことが大切です。

 

 伸び悩んだときの対応策は、「長時間やる」「もっと頑張る」ことではなく、「今の方法をより良く変える」または「別の方法を試す」 ことなのです。「質」である「戦略」を重視します。

 量を増やすだけだと、努力エネルギーの変換効率が下がってしまいます 。要領よく勉強できなくなってしまいます。

 

 ロールプレイイングゲームに例えると(←またかっ)、
 ただ物理攻撃しまくるのではなく、

「剣で『切りつける』ではなく『突いてみる』」
「剣で倒せない敵に魔法を使う」
「『属性が火』ではなく『水』の魔法を使う」

というようなことです。

 

 先の英単語100個の宿題の例でいったら、
とにかく覚えられない単語たちは、

 単語カードを作って順番を並べかえてみる、
 とか、声に出す、とか、書く、とか。

 

 うまく覚えられなくて勉強方法に疑問を抱き、方法を改良したり別の方法を探す時には、自分で試行錯誤するだけでなく、異なる視点を持つ保護者指導者からのアドバイスやフィードバックを求めることも大切です。

 アスリートに専属コーチがついて、あーでもない、こーでもない、と、練習メニューを一緒に考えているのと同じことです。

 保護者や先生やコーチは「勉強・人生」というゲームの豊富な経験者であり、参照すべき「攻略本」なのです。

 

 また、勉強が得意な友達に、勉強方法をきく のもよいことです。

 その際、やり方だけでなく、勉強をしているときに「どのような考えを持ってやっているのか(頭の中の感覚やイメージ)」も教えてもらうとよいです。

 アスリートたちがアタマの中で試合や成功をイメージすることがありますが、その心的イメージを持つか持たないか、も、上を目指すためには大切なようです。

 勉強が得意な友達は、すでにそのゲームの『攻略法』を知っているのです

 

 勉強する中で「何」を意識すべきなのか、「どうしたら」勉強の質が上がるのか、と、常に問い続けていきましょう。
 ただ単に長い時間勉強すればできるようになる、と考えるのはやめましょう。
 脳に負荷のかからない、努力エネルギーの変換効率の悪い勉強はやめましょう。
 せっかく勉強しているのだから、その努力がもったいないです。
 同じ時間(量)の努力、苦労、練習をするのなら、戦略・方法(質)にもこだわっていきましょう。

 それが『攻略』への近道です。

 

 54字の物語

 脳に適度な負荷がかかり、スモールステップで集中力を保ちながら学べる本をご紹介します。
 なんとなくの読書ではなく、脳に負荷のかかる読書 になります。
 すべての漢字にふりがながふってありますが、小学校高学年以上向けかと思います。
 大人も脳に汗をかく内容だと思います。(有名ですし人気なので、ご存じの方もいるのではないでしょうか。)

 内容は下の表紙を見ていただけるとおわかりいただけるかと思います。


 9マス×6行の原稿用紙につづられた「54字の物語」シリーズ(著者:氏田雄介さん)です。
 この本は、読書が、ただ活字を読む、という作業にならず、「必ず」アタマに負荷がかかります。
 しかも、短い文章なので、スモールステップで短時間に集中的にアタマを使うことになります。
 ひとつの文章を何度も繰り返し読んで「考える」ので、脳に汗をかきます。解説もあります。

 算数系・パズル系のアタマを使う本が多くあるなかで、「文章読解」を題材にして頭に汗をかかせるものは少ないと思います。学校の授業で扱われたり、メディアでも取り上げられたり、クイズ番組に使われたりするのも納得です。

 有名だし、人気シリーズ(1~11)なので、ご近所の図書館にもあると思われます。2024年5月7日に新刊12も発売されるようです。

 文庫版(1~3)もあります。↓

 

 また、X(旧Twitter)で作品を投稿するための「54字のジェネレーター」は以下のサイトです。↓

54.ujiqn.com


 不定期に「54字の文学賞が開催されています。↓
www.php.co.jp

 

 その5のさいごに

 今回は、限界的練習やスモールステップは、勉強だけでなく、ピアノやスポーツやゲームでも使われてるよ、ってことと、『質』にこだわっていきましょう、ってことをお伝えしたいがために、いろんな身近な例をあげました。例えるとわかりやすくなるかと思ったしだいです。
 次回からは「見る」ではなく「覚える」に焦点をあてていく予定です。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。