「うちの子には、家で勉強する習慣が身についていない」
よく耳にする話です。子供にとって「家=リラックスする安全地帯」なのです。大人だってそうですよね。仕事から帰ってきて疲れていますよね。子供も学校やクラブ活動、習い事、塾などで、結構ハードですよ。ある意味、大人より大変かも。それに家にはゲームやマンガなど誘惑も多いし、慣れ親しんだ家族しかいません。やや緊張感のある他人の視線もありません。
そんな「安全地帯」である家で、学習習慣を身につけていくことになるのです。幼いころから習慣を身につけさせるのが望ましいのですが、それぞれ多様な個性を持つ子供ですから、みんながうまく習慣化できるわけではありません。
以下の内容が「学習習慣を身につける方法の手助け」となれば幸いです。特に「習慣化の難しい初期段階」の方法について、心理学的要素もまじえながらお話していきます。
そもそも習慣とは
心理学上の定義では、「同じ行動の反復により、脳が行動をパターン化して習得し、労せず(自動的に)繰り返しが可能な固定した行動」となっています。少し平易な表現にすると、習慣とは、日常生活の中で意識せずとも毎日のように決まって行う動作や行為のことです。食事をしたり、歯磨きしたり、風呂に入ったり。あまり考えずに時間がきたらその動作や行為をしますよね。こうした行動は幼いころからの長期にわたる繰り返しによって身についた習慣なのです。
このような習慣化した行動にストレスを感じる人はあまりいません。したがって、勉強も同様に習慣化することができるはずなのです。
学習の習慣化の事前準備として、
まずは、「日常生活の習慣化」から
勉強の習慣を身につける以前に、普段の生活のリズムを整えます。規則正しい生活習慣を身につけます。そして、保護者も同様です。日曜日もいつもどおり起きてください。(エー!きっつっ!)親の姿を子供はよーく見ています。(ちなみに「ロールモデル設定」と言います。保護者が子供の見本となります。)
毎日同じ時間に起きる。
毎日同じ時間に食事をとる。
毎日同じ時間に入浴する。
毎日同じ時間に就寝する。
毎日同じ時間にテレビを見る。
毎日同じ時間にゲームをしたりスマホを見たりする。
土日も平日も同じリズムで生活する。
以上は時間を基準とした習慣化ですが、他にもあります。
if ー then ルール
朝起きたら「おはよう」、寝る前は「おやすみ」。
食事の前には「いただきます」、後には「ごちそうさま」。
食事の後には歯磨き。
帰宅したら手洗い・うがい。
帰宅時に玄関のくつはそろえて家にあがる。
上の例は「もし~したら、…する」という「if ~ then …ルール」となっています。
先ほどの時間を基準とした習慣化は、
朝7時になったら起きる。
朝7時30分になったら朝食をとる。
夕方5時に帰宅したらゲームをしたりスマホを見る。
夜9時になったら入浴する。
夜10時になったら就寝する。
など、「if - then ルール」で言い換えることができます。
つまり、
したがって、
になるのです。
このようにして日常生活の時間的リズムを整えながら、その規則に
「勉強する時間」を組み込み
ます。
夜7時になったら勉強する。
規則正しい生活のリズムが整っていないと、勉強する時間も毎日変わってしまい、「if-thenルール」が固定できず、習慣化が難しくなります。
以上が、学習の習慣化の準備段階になります。
その1のおわりに
次回からはこの「if-thenルール」つまり、「もし~したら…する」をもとに、次の段階『「勉強する」という行動の「きっかけ作り」』のお話をさせていただきます。何事も「とっかかり」が難しいですよね。(長くなりそうなので、数回に分けで書かせていただきます。読んでいただいている方には恐縮なのですが、もうしばらくお付き合いください。)